2005-10-31

内田樹著「街場のアメリカ論」

街場のアメリカ論
街場のアメリカ論

内田樹氏の新刊。題名通り、内田氏ならではのアメリカ論が展開されていて面白い。本来はアメリカが専門ではない内田氏だからこそ、私たちにとってアメリカとはどういうものなのかが、余計にわかりやすいのかもしれない。

前エントリの「『俺様国家』中国の大経済」を無理矢理端折って四文字にすると「親米反中」になる。そういうスタンスが強い。僕も若干そっち寄りだろうと思う。今回の内田氏の著作は、反米というとやや違和感があるけれど、アメリカに対して私達が感じる釈然としないところを上手く捉えていて、これはこれで非常に納得のいくそんな内容。ついで程度に触れられているSNSに関するくだりなども、個人的に持っているSNSへの違和感を理解するきっかけになりそうだった。

アメリカという国の影響は僕等の生活の至るところにある訳で、それを排除した生活というのは非常に想像に難い。ましてネット関係の仕事なんかをしていると、まあ何かにつけてアメリカを見ないといけない。ビジネスモデルやらマーケティング手法やら、何だかんだといろいろある。でも、十分にアメリカという国を理解しているかというと、やはりよくわからないところが多い。理念によって作られている国、ある意味壮大な実験国家と言えるのだろうけれど、それ故に持っている特異性というのが、時に訳のわからないものとして映ってしまうことがある。

この本ではそんな「訳のわからない」ところを、歴史やアメリカという国の生い立ちから、時に映画だったりアメコミだったりと様々な事例を持ち出しつつ内田流な語り口で説いていく。本人もあとがきに書いているくらいに、噛み砕くように丁寧に「アメリカとは何か」を解きほぐしており、非常に読み易い。

アメリカという国の持つ良さに惹かれるところもある一方で、どうしても納得がいかなかったり奇異に見えたりすることは多々ある。内田氏とはかなり年代が違うので、その辺りの世代感覚は違うだろうけれど、おそらくは多くの日本人にとって納得のいく感覚をうまく説明できているように思う。陪審員制度というか法制度への違和感が後半に出てくるけれど、こういう違和感というのは大事だろうなと思う。おそらくどんな人が読んでも、それなりに思う所のある良い内容ではないかと。お勧めです。

Posted by akio at 2005年10月31日 05:25 | 読書の記録
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