2005-05-21

先生はいますか?

2〜3週間前くらいに読んだ本だけど。
先生はえらい
内田 樹
4480687025

内田先生のブログは巡回先の一つだったりする。思想的にちょっと違う所もあるけれど、なかなか含蓄があって面白いと思う。基本的に社会学系な議論とか話は好きだし。格差社会に関する
内田樹の研究室: 階層化=大衆社会の到来
あたりはかなり秀逸なエントリだったと思う。お陰で苅谷剛彦の著作だととかオルテガの本なんかまで読んでしまった。しまった、という言い方は良くないな。面白かったし。

で、「先生はえらい」。読みやすい新書なので1〜2時間あれば全部読めてしまう。意図的かどうかわからないが、語るような口語体でのらりくらりとブレながらの進め方に好き嫌いはあるかもしれないけど。

内容としては、教育論というか師とは何かというかそんな話。学ぶとはどういうことか、あるいはコミュニケーションとは、といった話が展開される。そんなに嫌いな類の話では無い。ただ、これがどの程度現実的な話だろうなと思うとなかなかに暗い気持ちになる。内田センセの言うようなコミュニケーションだったり学ぶ姿勢というのはかなりに失われつつあるものだろうな、と。だからこそこんな本を書いたのだろうけれど。

学ぶという行為は人にとって終わりの無いもの、だったかと思う。だけれど、最近は何というか違和感がある。同世代とかあるいはもっと若い世代を見ていると、爺むさい言い方だけどそんな気持ちになる。技術や情報はどんどん手に入れる。しかも迅速に。役に立つ事、必要な事はどんどん吸収するし、あっという間に上の世代に追いつき追い越して行こうとする。でも、そこには内田センセの言う「学び」は無いのだろうなと漠然とだけど感じてしまう。多分、僕もそうなのだろうけど。

仰ぐべき師や先生を持つ者は稀少だし、羨ましくもある。橋本大也氏のブログで
Passion For The Future: 教えること、裏切られること―師弟関係の本質
という書評があるけれどある意味そういうことなのだろうと思う。近代的な師弟の関係というのは、ある意味過去のものになりつつあるのかもしれないなあと。内田センセのはそこまでストイックなものではないし、多分にそういう状況をわかっているからこそ、人と人とのコミュニケーションとはという本質的なところから噛み砕くかのようにゆったりと話をしているのだろう。それでもやっぱり何となく暗い気持ちにならざるを得ないのは、僕が悲観的すぎるのだろうかな。

Posted by akio at 2005年05月21日 23:43 | 読書の記録
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