「アルゴ」を観て

アカデミーの作品賞を獲ったということもあり、上映している劇場が増えている「アルゴ」。昨年秋の公開時に見逃していたこともあり、先週末観てきました。
以下、ネタバレもありつつ感想を。

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まず、娯楽作品としては非常に良く出来ている。最後の方のいろいろ畳みかけるスリリングさはちょっとやり過ぎかな?(史実がどうだったかは後ほど)と思いつつ、飽きさせずに最後まで引っ張る。多分ほとんどの人は、無事に出国できるのは知ってて観ていると思うけど、作戦が成功してほっと安堵させる力がある。少なくとも、僕はそうだった。胸をなで下ろすというか、ちょっとした達成感があった。

この映画で賛否がわかれるとすると、ここからだ。これは本当にあった話なのか?という点。「これは事実です」という煽りはさすがに酷いと思うけれど、実際の事件に基づいて脚色された作品であることには間違いない。それが困る。何の前知識もなく観ていると、さすがにラストのパトカーが飛行機を追ってくるシーンを本当だと思う人は少ないと思うけれど、どこからどこまでが本当なのかよくわからない。あと誤解を招く描写も多い。気になった点としては以下だろうか。

1.中途半端に似すぎている
2.イラン人が怖すぎ。
3.カナダそれでいいの?

まず1だけど、本作を観た人はエンドロールに入るところで、本当の当時の写真と映画のシーンが対になっているところは必ず覚えていると思う。良い演出だ。冒頭の星条旗が燃やされるシーンとか、あと、問題の6人の写真とか。実によく出来ている。映像自体も当時のフィルムを観ているような錯覚になる色合いだし、ディティールがすごく凝っている。6人はそっくり度合いを重視して選んだという話もあるくらい。あまり有名な俳優がいないのも大きい。これは、本作は相当に事実ベースな作品なのかな?と思えてくる。

じゃあ、実際どうだったのか?これは気になったので簡単だけど調べてみた。一番手っ取り早いのは英語版のWikipediaのこのページ。
Canadian Caper
すると、現地に乗り込んだのは2人、脱出はほとんどトラブルがなかった、などなど、結構違うことがすぐわかる。

いろいろ違う点について、雑多だけど、neverまとめにあったのでリンクを。
映画「アルゴ」はどの程度「事実」を描いた映画なのか/アカデミー賞後のイランの反応

で、2番目に繋がるのだけど、イラン人がとにかく怖い。何を言ってるのかわからない(字幕がつかない)所が結構あるので、余計に怖い。イラン人がテンション上がっちゃって、変な騒動に巻き込まれた可哀想なアメリカ人、的に見えてしまう。けど、本当にそうなのか、そもそもイラン革命ってこんなだっけ?みたいなのはどうしても残る。僕もそんなに知識のある方ではないけれど、あれは民衆による民主化の革命ではなかったかなと。上のまとめにもあるけど、アメリカは責められる理由は大いにある。その辺の背景は、残念ながら十分に伝わってこないように思う。そこはちょっと残念。

イランとイラクがこの後どうなったのかとか、一瞬出てくるアフガン情勢がどうなったのか、それが現代にどう続いているのか、などなど考えると、アメリカの中東政策にはいろいろ考えさせられる。この辺は、僕自身もうちょっといろいろ勉強したい。

やや話が逸れた。

3のカナダ。これが変な存在というかお人好しというか。そう見えてしまう。6人を匿ってあげて、最後はイランから見たら悪者を引き受けて、それでいいのかなとか心配してしまう。でも、先のWikipediaとかを見ると、カナダ政府との共同作戦だろうと思う。その辺は、尺の都合もあるんだろうけど、ちょっと存在が無さ過ぎる。英雄トニー・メンデス1人が活躍している風にとれなくもない。

とまあ、いろいろケチをつけたが、面白い映画であることには間違いない。そこは太鼓判である。本当によくできている。アカデミーの作品賞を獲ったのもよくわかる。アメリカ人好きだもん、こういうの。映画がキーになるってのも良い。映画が人の命を救ったというのは、映画関係者にとっては、イイハナシだろう。

ただ、もう一歩踏み込むと、いろいろ考えさせられる。まあひょっとすると、それも含めて良い作品なのかもしれない。

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