項羽と劉邦

もう読了してからかなり経つのだけど、とりあえず読書録として。

司馬遼太郎氏の「項羽と劉邦」を読みました。題名通り、中国の秦末期から前漢の成立までの、楚漢戦争を描いた作品。かなり前から読みたいなと思っていましたが、期待通りの面白い作品でした。司馬氏の長編ものでは唯一中国が舞台のものではないかと思います。

項羽と劉邦といえば、よくリーダーシップの比較とか、理想の経営者像みたいなものとかでも引き合いに出されます。もちろんそういう風に読むのも面白いのですが、個人的には、その二人の対比はもちろんながらも、様々な個性溢れる人々の群像劇として興味深いものでした。よくもまあこれだけ色んな個性の人間が次から次へと出てくるものだな、と関心するほどに「人」が面白い作品。
作中、あとがきでも、司馬氏の言葉として、この時代は個が成立した時代であると述べられています。そういう視点で描かれているからでしょうが、様々な典型的な個の群像劇としてこの作品は本当に面白いものになっています。そして、この時代の中国における「士」とは何か?「侠」とは何か?みたいなことを解説しながら、様々な個が織り成していく物語は、とても紀元前の話とは思えないほどに活き活きと描かれています。読みどころの多い作品だとは思いますが、個人的にはそこがこの作品の一番の魅力ではないかと思いました。

司馬遼太郎氏は人を描くのが上手く、描かれる人物は本当に魅力的です。そこが司馬遼太郎氏の素晴らしさであり魅力だろうと思います。司馬氏の描く人物のイメージの方が、実際に史実としてどうであったかとか関係なく、その人物のイメージとして定着してしまうことはままあったりします。僕にとっても、多くの戦国武将や幕末の人物は、司馬作品のイメージが一番強いです。
そういう意味で言えば、この「項羽と劉邦」も司馬氏の描く項羽であり劉邦、もっと言えば、司馬氏が解釈した「史記」と言った方が良いかもしれません。だからどうだという訳ではないのですが、この作品に出てくる人物達もまたとても魅力的で、「韓信」についてもっと知りたいなとか、春秋戦国時代とかも面白そうだなとか、そんな風に思えてくる作品です。三國志とか好きな人にはオススメしたいです。

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